“幻想水滸伝”ファン待望の新作 前日譚として申し分のないシンプル且つド派手に楽しめて親切設計なアクションRPGをプレイすると本編が待ちきれなくなる【百英雄伝 Rising】

レビュー
こがめ
こがめ

どうもこがめです.

今回は『百英雄伝 Rising』の魅力,レビューをまとめていきたいと思います.
『幻想水滸伝』の生みの親が手掛け,2023年発売予定となっている,『百英雄伝』の前日譚にあたるのが本作『百英雄伝 Rising』です.
世界観を同じくし,一部登場人物が先行して登場するとのことで,本編発売前から非常に注目が集まる作品です.
『幻想水滸伝』のシリーズファンからしてみれば,待ちに待った本作ですし,『百英雄伝』の発売が少し延期したこともあり,本作をプレイしながら発売を待つという方も少なくないと思います.

ということで,今回も様々な観点から魅力,レビューをまとめていきます.
尚,ストーリーに関するネタバレはありませんので,これからプレイされる方も安心してご覧ください.
またもしこの記事を読んでくださっている方は感想などシェア頂けると嬉しいです.

どんなゲームか

『百英雄伝 Rising』
ジャンル:アクションRPG

本編にあたる『百英雄伝』はRPGですが,本作はアクションRPGです.
というのは,本編作品と本作では開発会社が異なっていて,『百英雄伝』は”Rabbit&Bear Studios”『百英雄伝 Rising』は”ナツメアタリ”が開発,本編発売までの期間に百英雄伝の世界を楽しんでもらうことを目的の1つとしてリリースされています.

しかし,本作の開発全体の監修は『幻想水滸伝』の生みの親であり,『百英雄伝』をメインでリードする村山吉隆氏,キャラクターデザインも同じく河野純子氏が手掛けており,核となる部分は同じクリエイターにて担われています.

では本作のゲームシステムについて説明していきます.
本作の目的は大きく2つで,ダンジョンの最奥を目指すことと街の発展です.
便宜上,ダンジョンパートと村興しパートと呼びましょう

ダンジョンパートでは,シンプル操作による派手なアクションが特徴で,特性の異なる最大3人のキャラクターを使い分け,大森林や採掘場,遺跡の奥地を目指します.

また村興しパートでは住人達のいくつもの要望に応えていき,武器屋や質屋,宿屋,牧場や時計台など主要施設を整え,発展させ,住人を増やしていくことを目指します.

強力なボスとの戦闘やアイテムの発掘を行う2Dアクションと比較的ほのぼのした村興し,この2つがバランスよく交互に訪れ,メリハリの利いたストーリー進行も大きな特徴の1つです.

ではこれら踏まえて,まずは良い点についてまとめていきます.

良い点

 本編への期待が膨張

本作の舞台は大陸の辺境地にある田舎町”ニューネヴァー”.
鉱山の発掘により発展を遂げようとしてた折り,突如発生した地震と共に古代の遺跡が現れ,同時に魔物も現れてしまい,街の周辺は危険な地域と化してしまう.
そこへ本作の主人公の一人”CJ”が訪れるところから物語は始まります.

ストーリーを進めると分かりますが,大きな広がりを見せる世界であることが感じされる一方,本作の物語はニューネバーという局所的な場所に特化し,その小さな街にすむ人々の人間模様や歴史が描かれます.

世界の広さを感じつつも,濃密で深みのあるストーリーやキャラクターの掘り下げは主人公であるCJのみならず,ひょんなことから仲間になる”ガルー”,街の町長代行である”イーシャ”についても同様です.

アクションパートだけでなく,村興しパートでも最大3人で行動を共にするため,その1つ1つの出来事について,3人での議論や掛け合いが行われます.
そしてその中で,それぞれが背負う過去や想い,葛藤などが繰り広げられ,3人の持ち味が存分に味わえます.

また物語の随所で登場するサブキャラクターも個性的で,それぞれに用意された一枚絵からはその人物像が窺え,また独特のキャラクターデザインも印象的,恐らくこれらのキャラクターは本編にも登場することが予想されます.

更には,ちょい役である,情けない冒険者や老人などについてもその多くに名前があり,勿論例外はありますが,またそれぞれの人物像に触れるイベントも設けられており,モブキャラクターと呼ぶには失礼とも言える程に,確かで丁寧な仕上がりが感じられます.

それらについて間違いなく共通して言えることは,本作のテキストの多さだと思います.
このような主人公の三人は勿論,サブキャラクター,モブキャラクター,そしてこれらの人物の有機的な繋がりと掛け合いを,本作のストーリー,クエストを通して多分に感じることができますし,どのキャラクターが本編に出てくるのか,またどのような登場をしてどのような活躍を見せるのか,そして戦闘ではどんな能力なのか,それを想像するだけでも非常にワクワクします.

少なくとも,本作を一通りプレイし終えた今では,間違いなく,主人公3人はパーティに入れたい,そう思える程に,キャラクターの魅力が詰め込まれていると感じます.

またグラフィック表現も非常に美麗で,高解像度のピクセルアートと鮮明な3D背景は,物語やキャラクターへの没入感を抜群に高めてくれますし,ストーリー中盤で登場するホログラムのような表現も丁寧で凝った作りだと感じました.
またそれらがヌルヌル動く様子は,プレイしていて非常に気持ち良さを感じます.

 誰でもプレイできる派手なシンプルアクション


シンプルながらも派手で爽快なアクションが楽しめ,加えて丁寧で親切設計なシステム.
本編がRPGである一方で,アクションが得意でない方も本作を気軽に楽しめる難易度と分かりやすくシンプルな仕組みは,万人に向けたプレイ感を想定して作り上げられたことを感じます.

戦闘では最大3人のキャラクター,それも性能が全く異なる者を駆使してダンジョン探索やボス戦を繰り広げていきます.
キャラクターはそれぞれCJ,ガルー,イーシャの三人です.

それぞれの特徴を挙げると,
CJは二段ジャンプや高速の緊急回避,短射程の連続攻撃が得意,
ガルーは攻撃スピードは遅いが広い攻撃範囲や貯め攻撃,パリィ,
イーシャは魔法による遠距離攻撃とワープや空中浮遊移動等,
キャラクターごとに個性的で異なる特徴があります.

攻撃はそれぞれのキャラクターに1つのボタンが割り当てられ,ジャンプと3つの攻撃ボタンというシンプル操作です.

キャラクターの切り替えもそれぞれに対応した攻撃ボタンを押すことで瞬時に変更,攻撃タイミングを見計らうことで,コンボ攻撃,チェイン攻撃も可能,これを駆使して連続で攻撃を仕掛ければ,敵に何もさせずにボコボコにすることができます.
この敵を一方的にボコボコにしていく感触が,本作のアクションパートにおいてもっとも楽しいところだと思います.

アクションRPG特有の強化,カスタマイズ要素については武器と防具,アクセサリーの大きく3種類です.
ただ,武器と防具は基本的には固定で,その強化の段階によって威力と使えるアクションが追加されていきます.
例えばCJであれば,最初は単発のジャンプしかできないですが,強化することで二弾ジャンプ,緊急回避,空中緊急回避,最大5連続攻撃等,使い勝手が良くなっていきます.

アクセサリーについても効果は非常にシンプルで,攻撃や防御に属性を付与したり,攻撃力,防御力のアップや探索でのアイテムドロップ率やレアドロップ率の上昇,魚釣りの大物率上昇等,戦闘に影響するもの,探索効率に影響するものがあります.
その他,お風呂によるステータスアップなどもあります.

またアイテムについても,ストーリー終盤では最大15個まで持ち込みが可能で,主に回復やバフ効果のアイテムを持ち込めます.
ちなみに,体力ゲージはキャラクター個別ですが,アイテム効果は3人全員に作用するという親切設計です.

ただ,難易度が簡単かというとそうでない場面もしばしばで,手強いボスは勿論存在しますし,突然現れた中ボス級の敵にボコボコにされることもままありました.
一方で,クリアできない程に難しいかというとそうではなく,戦闘準備としてアイテムをしっかり用意しさえすれば,十分ゴリ押すこともできますので,そこまで心配する必要もありません.

また以前訪れたダンジョンに再度訪れることがあるのですが,その際の敵をボコボコにしながらガシガシ進んでいける点も,アクションRPG特有の爽快感として感じられます.

ただ一方で,一部の条件では,再戦するボス等は強化されている場合もありますので,緊張感がゼロかというとそうでもないので,そのメリハリもある程度感じられます.
その他,戦闘やストーリーのテンポも良く,ロード時間は一切気になることはない,それでいてシンプルに誰でも遊べるというバランス.

当初,本編がRPGなのに対して,なぜ本作がアクションなのかと疑問に感じていましたが,実際にプレイしてみると,これはこれで十分楽しいですし,前日譚として申し分ない立ち位置だと思います.

 無性に達成したくなるクエスト

村興しパートではクエスト制が導入されており,1つ1つのクエストの受注と条件達成,報告の一連の流れを通して,住人達の人物像や関係性を描いていることが感じられます.

クエストを達成するとスタンプカードにスタンプを押してもらえ,それを一定数貯めることで町が発展したり,アイテムを貰うことができます.
そのスタンプの総数はストーリークリアまでで最大133個,クリア後は更に追加され計160個にまで上ります.

勿論,中にはテキストが淡白なものもありますが,その多くでは各人物との掛け合いや内面の深堀り,ちょっとしたエピソードが展開され,その街で生活していくこと,関わっていることが感じられます.
またそれらの一つ一つがシンプル,且つ短時間で達成できるものが多く,
例えば,必要な素材を集めるものやボスを倒すものなど,ダンジョン探索を伴うものもあれば,人探しやお悩み相談等,街の中で完結するものもあります.

またこれらは効率的にやれば一気にまとめて達成することも可能なため,この手の収集が好きな人であれば,やりだすと止まらない現象に陥ることもあると思います.

またスタンプカードのシステムも絶妙に効いていて,プレイヤーが街にいるときは常にスタンプの状況が表示されているのですが,この表示のおかげで何故かどんどん埋めたくなりますし,キリのいいとこまで埋めて次に進もうと思えます.

しかも一定数達成すれば更に次々に新しいものが登場するため,ストーリークリアまでに全てをこなそうとすれば,プレイ時間のうち半分以上の時間を使っていることになると思います.

クエストの過程では,ダンジョンに再訪することも多いですが,その時には既に圧倒的に強くなっていることもしばしばで,アイテム集めやボス討伐の道中でザコ敵をボコボコにすること自体が楽しかったり,それで手に入る素材も別のクエストで使ったり,換金できたり,もしくはコンボ攻撃の練習にもなったりと,やっていく中での作業感は比較的軽減されていると感じますし,アクションRPGとして確かに強くなっていることを感じられます.

スタンプが一定数が貯まると街の様子も大きく変わっていき,街の変化や住人が増えていく様子も嬉しいです.
中には町の特産品を作る際にはそれに名前を付けることもでき,その結果,街への愛着も湧いてきます.

総じて,何の変哲もないスタンプカードですが,案外これが侮れない仕掛けでもあり,ゲーム開始時は邪魔だとも思っていましたが,今では意外とアリだと感じています.

悪い点

では続いて悪い点についても述べたいと思いますが,中には悪いというよりは,好みの問題や,ゲームのジャンル,システムの性質上,仕方がないようなものもありますので,その前提で整理したいと思います.

 アクション要素の解禁システム


アクションが苦手な方でも気軽に楽しめて,且つ爽快感も手軽に味わえる,そんな『百英雄伝』を楽しみにしている多くの人が気楽に楽しめるシステムが本作にはあります.
そして3人の主人公それぞれの特徴とアクション,コンボ攻撃は本作の最も楽しい部分の1つです.

ただ,これには1つ問題があり,それは最大限に楽しくなるに達するまでかなりの時間を要するという点です.
ゲーム開始当初はCJ一人を操作し,そのうちガルーが仲間になり,最後にイーシャが仲間になります.
私の場合,イーシャが仲間になった時点でプレイ時間は4時間半,これはストーリークリアとその時点での全てのクエスト達成までの15時間に対して,そこまで長いものではありませんし,操作に慣れながら,クエストもやりながらという観点では適切かもしれません.

しかし,一方で,キャラクターごとのアクションを最大に強化するにはかなりのプレイ時間が必要で,よほど特化して作業を進めない限りは,ラスボスの少し手前でようやく最終段階,もしくはその一歩手前になるというバランスです.

私の場合は,ラスボス直前になっても全てを最終段階まで強化することができませんでした.

勿論,全てを強化しなければ戦えないかというとそうではありませんので,許容できないバランスというわけではありません.
ただ一方で,最初から最後まで,ある種の縛りプレイのような状況であるとも捉えることができるため,新しいアクション,それもキャラの個性として重要な要素であれば,ストーリー進行に連動して解放されるのでもよいのではと感じる点でもあります.

またカスタマイズ要素が徒となる点もあります.
それはアクセサリーによる属性付与の要素です.

それぞれのキャラクターは属性付与のアクセサリーを付けることで,攻撃と防御に対応した属性が追加されます.
特に重要なのが攻撃の属性で敵に弱点を突いて攻撃できるだけでなく,特定の障害物を破壊して,未知のエリアに進むことができます.
このアクセサリー自体の仕組みは良いと思うのですが,敵に合わせて,もしくは障害物に合わせてアクセサリーを付け替えるというのが煩わしく感じます.

アクセサリーの付け替え自体は複雑な操作を伴うものでもないですし,大きく時間を要するものでもありませんので,都度変更すればよいのですが,それ以外のアクションパートの多くにおいて,非常にテンポが良いため,この属性付け替えの要素だけ突出して時間を食うものだと感じてしまいます.

加えて,レベルとテクニックを高めれば,多少の属性相性であれば覆すことができますし,ピンチになれば回復すればよいともなっていますので,それらも含めると,わざわざアクションのサクサクぷれいを中断してまで,アクセサリーを付け替えたくないという考えに至ることがしばしばでした.

更に,イーシャに至っては,属性だけでなく,魔法の軌道や射程などにも大きく影響するため,最終的にはほぼ2つの属性どちらかで固定していました.

これについては,変更の操作性を格段に向上するか,もしくは装備したものと敵の相性で自動的に弱点判定するなどでもよかったのではと思います.

 クエストとの相性

ストーリークリアまでの時間に対して膨大なクエストの数はかなりの量に感じられます.

クエストというのは,やるべきお題が提示される,つまりは平たく言えばお使いでもあるため,クエスト自体が好きかどうかで,本作の評価は大きく分かれると思います.

特に本作の場合,素材を集める,人を探す,ボスを倒す等,シンプルなものが多いが故にお使い感を悟る方も少なくないと思います.
またクエストとストーリー双方を全てプレイしようとすれば,ストーリークリアまでの半分以上がクエストの時間だったということも珍しくないと思いますし,ダンジョン内を何往復もするということも日常茶飯事です.

ただ,先程も触れた通り,その多くには,クエスト発注者の人物像や関係性,街自体との関連など,何らかのテキストとのセットになっていますので,そちらと併せた楽しみでもあります.

しかし,勿論中にはそうしたもの以外も含まれていますので,それらをきっかけに,クエストの意義を見失うかもしれません.
といっても,1つ1つは簡単に達成できたり,他のクエストのついでに達成できてしまうものもあるため,この連鎖的に達成できるという点も,本作のクエストにおける魅力だとも言えます.

つまるところ,総じていえば,クエスト制のイベントの好き嫌いによっては,ただのお使いゲーだと評される可能性も含んでいるとも言えますので,この辺りは大いに相性があると思います.

ただ繰り返しになりますが,サクサクと達成できる点は,それはそれで気持ちイイですし,アクションRPG特有のダンジョン内をガンガン駆け回っていく点も,これはこれでありだと思いますし,何より,あくまでクエストなので,メインストーリーに関わるもの以外はスルーしても問題ないです.

やりたくなった時にやりたいクエストをすればよいですし,気付いたら達成できるようになっていたものなども出てきますので,プレイにあたっては見極めが必要な要素ではありますが,一方であまり気負い過ぎる必要もないかなとも感じます.

 街の変化,人々との触れ合い

スタンプカードを全部埋めることで街が発展したり,住人の数が増えるのは変化として楽しいですし,いくつものクエストを達成する上での嬉しい要素でもあります.

ただ全体的に見れば,その変化の具合は大きく感じられるものではなく,がんばった度合いに見合うかというと難しいところです.

見た目以外の点でいえば,武器や防具をより強力にすることができたり,アクションが増えたり,購入できるアイテムが増えたりとアクションパートに必要な要素が次々と解禁されていきますので,見た目とは関係なく,よりキャラクターを強化すること等に繋がっていきます.

ただやはり,街を発展させることも一つの大きな目的であるため,見た目の要素が乏しいというのは少し残念に感じます.
また別の観点としては,クエストをこなす際には,様々な人物と会話をすることになりますが,一方で,クエストを終えてしまうと,その人物と会話することさえできない場合がほとんどです.

勿論,住人が非常に多いため,吹き出しなどを表示すると画面内が大変なことになりますし,ストーリー進行に合わせてセリフを調整するなどは,非常に骨が折れますので,クエスト時以外では会話をしないというようにしたものと思われます.

ただ,魅力的な人物たち,特にサブキャラクター的な人物と以後会話ができないというのは,少し寂しい要素ですし,会話ログやイベントログ等の見返し機能がない点も世界に浸る上では物足りないと思う方もいるかもしれません.

このあたりは,クリア後にどれくらいプレイするか,もしくはクエストをそもそもどれくらい達成するかにもよりますが,”その後”に少し寂しさを感じる点と言えます.

さいごに

ということで以上,良い点,悪い点についてまとめさせて頂きました.

さすがにフルプライスの作品と比べるとそのボリューム自体は控えめではありますが,定価1,650円(税込)という価格を考慮すれば,十分楽しめる内容だと思いますし,何より本編である『百英雄伝』への楽しさが膨らむ,待ち時間を有意義にしてくれるものだと感じます.

もともと”前日譚であること”やなぜか”アクション”であることなど,色々と心配な点がありはしましたが,『百英雄伝』の前振りとしては十分すぎるクオリティと単品での面白さも申し分ありませんので,
そのあたりを心配していた方は是非プレイするかどうか検討してみてください.

ということで今回は以上となります.
このサイトでは,1人用ゲームに特化して,発売前情報のまとめやプレイ感,レビューをまとめていますので,よろしければ定期的にチェック頂ければ嬉しいです.
それでは読んで頂きありがとうございました.

 

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