【解説】『新すばらしきこのせかい』が好評な理由 ※ネタバレなし

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こがめ
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どうもこがめです.

かつてNintendoDSで発売された異色の名作『すばらしきこのせかい』,14年間の長い月日を経て遂に新作が発売されました.

本作は根強いファンにとっては待望の新作となっていたわけですが,既に海外から好評を得ています.

海外にはゲームの評価をまとめているメタクリティックというサイトがあるんですが,そこには大手ゲームメディアが出したレビューを纏めているメタスコアというのがあります.
これが100点満点中スイッチ版が81点,PS4版が79点となっています.
また,メタクリティックにはもう一つユーザが自由に投稿できるユーザースコアというのがあるのですが,10点満点中,スイッチ版が9.4点,PS4版が8.7点となっています.

また,前作である『すばらしきこのせかい』についても,評価は高く,ゲームメディアの評価が100点満点中88点,ユーザー評価も10点満点中8.7点となっています.

つまり,好評だった前作に対し期待を裏切らない新作だということがわかります.

ただ,名だたる歴代DSソフトと比較すると知名度はそこまで高くはありませんので,『すばらしきこのせかい』という作品自体をそもそも知らなかった人も少なくないと思います.
一種の”知る人ぞ知る”状態です.

そこで『すばらしきこのせかい』の何が人気なのか,そして本作『新すばらしきこのせかい』の何がすごいのかレビューとして解説していきたいと思います.
ネタバレなしでお送りしますので,是非最後まで見ていって下さい.

 

“すばせか”の衝撃,すごさ

知る人ぞ知る名作にして屈指の異色作,2007年にNintendoDSで発売された前作にあたる『すばらしきこのせかい』.
当時プレイした人たちにとって数々の衝撃が走りました.
そしてそれが『すばらしきこのせかい』,すばせかの大きな魅力です.

まず一番に上げられるのが,アクションゲームとしてのその斬新なプレイ感です.
NintendoDSシリーズのハードでは,ボタンとタッチ画面が存在します.
ただ,これだけ操作できる方法があるにも関わらず,多くの作品では,ボタンのみでプレイする,タッチ画面のみでプレイする,ボタンプレイがメインでタッチ画面をサブで使う,というおよそ3種類に分けられます.
一方すばせかでは,これらをフル活用します.
それどころか酷使します.

どういうことかというと,
まず,プレイヤーは1度に2人のキャラクターを操作して戦闘を行います.
更に,DSの上画面と下画面にキャラクターが1人ずつ表示され,別々の戦闘を行います.
共闘はしているのですが,別次元で戦っているようなイメージです.
そして,基本のDSの持ち方として,右利きの場合は左手が十字キー,右手がタッチペンとなります.
タッチペンでの操作についても,画面をスラッシュする動きやペン先を連打するもの,ペンを抑え続けたりドラッグしたりと,操作内容も多岐にわたります.
また温いアクションゲームではなく敵もガッツリ強いので,上画面と下画面を交互に見ながら,十字キーとタッチペンで激しいアクションを行うということになり,腱鞘炎になった人もいたとかいないとか.
ちなみに私の場合は前作をやりすぎて,DSのタッチペンの先が一方向だけひどく鋭くなってしまったことを覚えています.

それに加えて作中の随所で使われるBGMも非常に斬新です.
ゲーム音楽としてのBGMとして単純に素晴らしいというだけでなく,その楽曲の多くに歌詞があり,実際に歌われながら,戦闘中やフィールド移動中に流れます.
ゲーム音楽と言えばBGM,歌詞が無いのが当たり前,そんな時代に,突如,ほぼ歌詞が付いていて,ノリノリで歌っている曲ばかりが流れているという,とてつもない衝撃が走りました.
歌を聴いているのかゲームをしているのか,分からなくなる程です.
また曲のジャンルについても非常に多岐にわたり,ロックからヒップ・ホップ,トランス,サイケ風ポップ,エレクトロ・ディスコ,エレクトロ・ブレイクビーツ,更には8ビットゲーム風の音楽まで様々です.
サントラCDもゲーム音源バージョンだけでなく,人気ボーカル楽曲中心のアレンジアルバムが発売されたりと,音源人気も非常に高いです.

その他にも,世界観や謎解き要素,アニメ化までされたシナリオや中毒性の高いやり込み要素等々,非常に多くの魅力があります.
そして,それらが正統進化を遂げたのが「新すばらしきこのせかい」です.

では『新すばらしきこのせかい』実際にクリアした上でのレビューとして,本作の魅力を4つ解説していきます.

 

中毒性の高い爽快バトル

まずは何と言っても,圧倒的な中毒性,そしてとてつもなく爽快なバトルアクションです.
本作は前作とは異なり,全てをボタン操作で行います.
使用するのは全部で9種類.
左スティック,右スティック,X,Y,L,R,ZL,ZR,Bです(Switch版準拠).
ただ操作はシンプルで,キャラクターの移動やターゲット変更と攻撃,そして回避です.
これだけだ聴くと大した複雑さはなさそうですが,本作の特徴は全てのボダンを同時に多発的に操作できるという点です.
極端に言えば,キャラクターの移動を左スティックで行いながら,X,Y,L,R,ZL,ZRの6つのボタンで攻撃することができます.
勿論指の数が足りませんが.
更に,それぞれのボタンでは操作の性質が異なっていて,Xボタンであれば連打して攻撃,Lであれば長押ししてチャージして攻撃,ZRであれば長押ししている間攻撃,という具合です.
ただ攻撃を永続して行えるかというと異なり,それぞれ使える時間や回数,リチャージの時間等が異なります.
攻撃事態はサイキックと呼ばれる特殊能力を発動して行い,そのために”バッジ”が必要で,バッジ毎に能力の特徴が異なります.
属性や攻撃力,攻撃が届くまでの待ち時間,効果範囲や付属効果等様々です.
そしてその種類は全333種類と膨大な数が存在します.
従ってその組み合わせ爆発の中から,プレイスタイルに応じて自分だけのオリジナルカスタマイズを探すことができ,結果的に戦闘に最適な操作方法は人それぞれ異なることになります.

更に攻撃時にはタイミングよく攻撃を連続してヒットさせるとシンクロゲージが貯まり,最大まで貯まると爽快な必殺技を繰り出すことができてこれが発動するとめちゃくちゃ気持ちがいいです.
そしてこれにより圧倒的に敵を殲滅することができますので,如何にこのゲージを貯めることができるかを試行錯誤する楽しさもあります.

また,バトルはシンボルエンカウント形式で難易度も4段階で調整可能,戦闘によるHP残量を持ち越す”連戦数”もプレイヤーが任意に決定できるため,戦闘システムが非常に柔軟です.
序盤であれば,何も知らずに初めてプレイする人でも,難易度を下げて何となくボタンをガチャガチャしてれば勝てて,且つ気持ちいいという体験をすることができます.


以上,自分流のカスタマイズと操作の最適化,そしてそれぞれの攻撃エフェクトや絶妙な戦闘のスピード感,痒いところに手の届く形で調整された戦闘システムがもたらす中毒性は非常に高く,自然と戦闘狂になっていく人も少なくないと思います.

 

死ぬまで聞き続けたい音楽

前作に続き,そのゲーム音楽の独自性は健在,寧ろパワーアップしています.
収録楽曲は全51曲,本作からの新曲や前作のアレンジなど多くを聴くことができます.
また,それもフィールド移動時や戦闘中に流れ,テンションの上がる戦闘を行うことができます.
戦闘時にどの楽曲がかかるかは毎回変化するようで,戦闘の度にどの曲が流れるかも非常の楽しみな要素となっています.

やり込みの一つのコンプリート要素として,作中BGMをゲーム内のショップで購入することができます.
これを購入することで,メニュー画面のBGMを任意に変更できたり,曲を永久リピートで聞くことができます.

ちなみにサントラも発売が予定されていますので,概要欄に載せておきます.
ゲームをまだプレイしていない方も,曲の一部を聴くことができますので,是非一度聴いて見て下さい.
正直,曲目当てて本作をプレイする人がいてもおかしくないと言っても過言ではないです.

また作中の曲の購入一つとっても芸が細かく,例えば,ゲーム内の渋谷のタワレコでそれらの一部を購入することができるという設定なのですが,曲一つ一つに紹介文が書かれていて,それらはそのショップ店員がポップで宣伝しているような記載内容となっています.

ゲームをプレイする上での戦闘要素には一切関わりませんが,思わずコンプリートしたくなるような内容です.
実際,私は見つけたCDは何よりも優先して購入していきました.

 

プレイヤー自身も”ゲーム”参加者

本作のゲームジャンルは正式にはアクションRPGとなっていますが,クリアした上で厳密に定義するなあらば,アドベンチャーアクションRPGです.
それくらいテキスト(文字)の量が多く,シナリオ内容としても濃い,例えるならアニメの1クールは余裕で溢れて,OVAが2,3本出せる程です.

シナリオの描き方としては,本作のプレイヤーは,主人公である”リンドウ”に姿を重ね,謎解きをしながらストーリーに没入して味わっていくというアドベンチャー形式です.
突如謎の世界に入り込んだ主人公リンドウは,死神のゲームに参加することになります.
謎の世界でいきなり始まる不可解なゲーム.
リンドウはその世界の仕組みや死神のゲームのルール,そして元の世界への戻り方を探っていきます.
そしてその過程はプレイヤー自身も謎解きや戦闘をしながら理解を進めていく形式で描かれています.
時にはリンドウの能力で時間を巻き戻したり,友人フレットの能力で元の世界へ干渉したりと,様々な能力を駆使して,主人公たちと一緒に物語を味わうことができます.

厳密に言うと,直線型のアドベンチャーゲームで,マルチエンディングや大きなストーリー分岐等はないと思われますが,アニメや映画を没入して,そして自分の手で探り,謎を解き,戦い,ストーリーを進めていく感触は何とも有意義な時間です.

ちなみに,前作についてもアニメ化が行われていて,全12話となっていますので,ストーリーの雰囲気や作風を知りたいという方は見てみて下さい.
ストーリー自体は,前作と同様の雰囲気となっていて,少年漫画テイストではありますが,少し捻くれていて,人間のどこかダークな部分に焦点が当てられた雰囲気となっています.
どちらかと言うと完全懲悪寄りではありますが,前半の世界やルールを理解していくパートから,真実にたどり着いていくパートへの怒涛の流れは前作に続き安定感が高かったです.

尚,本作は前作の続編的な立ち位置となってはいますが,本作単品でもストーリーとしてはまとまっていますので予習必須ではありません.
勿論,前作プレイ済み,もしくはアニメ12話視聴済みの人は,より一層本作を楽しめますので可能な方はオススメしておきます.

 

やり込み要素がてんこ盛り

ストーリー自体は3,40時間程度でクリアできますが,その後のやり込み要素も多岐にわたります.
先程少し触れたバッジや楽曲の収集は勿論,レアモンスターの討伐やファッションアイテムの収集,敵モンスターからのドロップアイテムコンプリート等です.

バッジについては単純に敵モンスターを倒した際にドロップするものもあれば,バッジを育てて進化する,モノによっては進化条件が複雑なモノもあります.
育てればバッジの能力が強くなったり,進化することでより強力になったりと,戦闘能力にも直結する重要な要素です.
敵モンスターについても難易度に応じて強さは勿論,ドロップアイテムが異なるので,全4種類の難易度でそれぞれを倒したり.
その他食事をして基礎ステータスを極限まで高めたり,特殊な倒し方をするレアエネミーの討伐,装備品としてのファッションアイテムのコンプリート等様々存在します.

ただ個人的には,やはり戦闘に必要なバッジや装備品の入手,そして何よりプレイスキルを磨くことが一番のやり込み要素だと思います.

雑魚的は勿論,ボス的についても行動パターンはほぼほぼ決まっているので,その見極めとプレイスキルを磨けば,最初にクリアした時よりも,早く,楽にクリアすることができます.
回避の見極めと攻撃タイミング,そして効率的なシンクロゲージの蓄積による必殺技の連発,これらが噛み合った時の気持ちよさは想像するだけで脳汁が出てきます.

どこまでやり込むかは人それぞれですが,やり込もうと思えばいくらでもその余地があるのは非常に嬉しいですね.


ということで,以上4つ解説しましが,その他にも色んな魅力があります.
例えば,キャラクター個別ではなくチーム全体でのレベル設定,HP設定となっていることで
ストーリ道中の育成がやりやすいことや,難易度調整の柔軟性により,
るその時々で遊びたい方法を選択できたり.
渋谷という広すぎず狭すぎない舞台設定により何とも言えない没入感を得られたり,
ストーリーは最後の最後まで目が離せなかったり,登場する様々なキャラクターはそれぞれが魅力的で,また彼ら彼女らが成長していく様子は非常に共感できます.

 

難点を挙げるならば

ではもう一ついくつか気になる点も挙げておきます.
まずは,戦闘開始のロード時間です.
長すぎるというわけではないのですが,ケースによっては比較的長めだと感じることがあります.
一度プレイしてみると気付くのですが,本シリーズは基本的に連戦を繰り広げていくことが効率的です.
なぜなら連戦ボーナスで経験値アップやドロップ率アップが付与される為です.
従って,被ダメージ引継ぎのリスクを取ってでもそれらの恩恵を受けた方が良いからです.

この際,ロード時間は,戦闘開始時と連戦の間の切り替え,そして戦闘終了後の3か所です.
連戦であれば戦闘している時間が長くなる為,個別のロード時間は全体でみれば短く,それほど気になりません.
一方で,ストーリー中は強制戦闘が発生する場合があり,それが連戦なしのケースが結構あります.
こうなってしまうと,戦闘している時間はそんなに長くない,その割に戦闘開始のロードが長いなと感じてしまうことがあります.
またそれら強制戦闘はストーリー上倒すことが必須のものばかりである為,倒すまでに何回も挑まなければならない,つまりロードの長さを何度も感じなければならないということになるケースもあります.
これが非常に勿体ないので,是非パッチ等で修正してほしいですね.

あともう一つ.
ストーリーでは主人公リンドウが時を戻す演出が行われます.
この演出が少し冗長に感じる場面もいくつかありました.
例えば,敵が強すぎて倒せない,だから時を戻して対策を打つというようなケースです.
この場合,ストーリーとしてはアリなのですが,ゲーム体験としては何度も時を戻して何度も対策を打つというのは少し冗長でした.
システム的には,時を戻さずに挑めるウルトラベリーハード,時を少し戻して挑めるスーパーベリーハード,時をガッツリ戻すノーマルのような,ストーリー上は同じ結論ですが,戦闘システムで冗長さを回避するような形の方が良かったなと感じています.
このあたりはシステム的に困難かもしれませんが,何等か冗長さを回避できる方法が欲しかったなと感じています.

 

さいごに

前作の発売から14年,世界観や独特の雰囲気を保ちつつも,古臭さを一切感じることなく,シリーズ初プレイでも存分に楽しめる,それが『新すばらしきこのせかい』だと思います.

正直,私自身,発売前は結構不安でした.
DS時代の不屈の名作『すばらしきこのせかい』,あれはDSというハードだからこそ実現できたのではないか.
ハードが変わり,操作性が変わり,ゲーム体験,プレイ感が期待値を越えられないのではないかと.

しかし,プレイしてみて,というか体験版をプレイした段階でその不安は一気に払拭されましたし,
よくぞここまで正統続編としてリリースしてくれたという気持ちでいっぱいです.

もし購入を迷っている方は是非体験版をプレイしてみて下さい.
およそ2時間程度プレイできますし,戦闘もアクションできるボタンの数は少ないですが,本作のゲームシステムの面白さは十分感じることができます.
体験版をプレイして面白いと感じた方は,以降ストーリー面にしても,戦闘システムにしても,ドンドン面白くなってくるので,是非お気軽にダウンロードして頂ければ嬉しいです.

ということで今回は以上となります.
このサイトでは,1人用ゲームに特化して,発売前情報のまとめやプレイ感,レビューをまとめていますので,よろしければ定期的にチェック頂ければ嬉しいです.
それでは読んで頂きありがとうございました.

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