【解説】作品の魅力 完全版くまのレストラン

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こがめ
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どうもこがめです.

2021年6月17日にNintendo Switchでリリースした完全版『クマのレストラン』.
今回は本作の魅力について解説したいと思います.
もしプレイしようか迷っている方は是非参考にして頂ければと思います.

そもそも『くまのレストラン』は,短い時間で密度の高い感動体験が得られる,所謂「泣きゲー」と評され,iOS/Androidにて世界中で100万ダウンロードを突破,2019年のGoogle Indie Game Festival および,Google Best of 2019に選ばれたインディーゲームです.

今回Nintendo Switchでリリースされたものは,これまでのストーリーに加え,Nintendo Switchでしか遊べない限定エピソードを収録した「完全版」で,新たな楽曲も数曲追加されています.

ジャンルはドット絵アドベンチャー,価格は1,500円(税込)のダウンロード専売,対象年齢12歳以上となっています.

既にリリースされていたiOS,Android版も前半は無料で遊べ,後半は課金にてプレイ可能となりますが,公式公認の裏技を使えば,課金せずとも遊ぶことができます.

ただ,今回新しく追加された完全版としての追加ストーリーや追加楽曲は(恐らく)Nintendo Switch限定となっています.
今回はNintendo Switch版をもとに説明させて頂きます.

 

ストーリーの魅力

1つめの魅力はストーリーです.
世間では泣きゲーと評される程の内容と言われていますが,実際プレイしてみると,やはり心にグッとくるものが非常に多く,濃密な内容でした.

ストーリーの主軸はクマとネコ,2人の主人公の関係性を描いたお話で,また死後の世界をテーマにしたファンタジー作品です.
ネタバレを避けるため多くは語りませんが,多くの人にとって身近なテーマであり,且つストレートな物語として描かれており,心にスっと入ってくる内容になっています.
正直,この解説をしながら何度か泣きそうになってます.
しかしメインストーリーだけが魅力ではありません.
レストランにやって来るお客さんや”虚無編”と呼ばれる物語後半で出会う人々,それぞれが死ぬまでの人生に直に触れることができ,各登場人物の生き方や価値観,葛藤などを体験することができます.

これらはメインストーリーに対して,短編集のように描かれますが,描き方も非常に丁寧で,ゲーム体験を損なわない丁度良いボリューム,そして適度なタイミングで何度かに分けて深堀して描かれており,メインストーリーとの対比なども含め非常に良いスパイスとなっています.
ただ,中には一部グロテスク要素,胸クソ要素も入っています.
プレイする際には心の準備をお忘れずに.

 

シンプルな1本道ADV

2つ目はシンプルな1本道のゲームであることです.
公式には本作を「ドット絵アドベンチャー」と定義していますが,広義にはアドベンチャーゲームに分類されます.
ただアドベンチャーゲームと一言に言っても,いくつかに分類でき,界隈の言葉を借りれば”直線型”といえるでしょう.
これが前述のストーリー性とも相まって,非常にシンプル且つ手軽に,けれど濃密に楽しめる作品だと感じました.
どの選択肢を選んでもストーリーは1本道に進みますし,誰に話しかけたか,誰にどんな行動を起こしたかに依存して大きな変化が生じることがない為,小難しい余計なことを考えず物語に集中して楽しむことができました.

特に色んなゲームをかじった人間であればあるほど,余計な先読みや分岐の可能性などをどうしても考えてしまいがちですが,本作にはそのような要素はなく,シンプルに楽しむことができました.

少し余談ですが,昨今のゲームは非常にクオリティが高く,シナリオの完成度も高い為,プレイヤーとしては非常に嬉しいのですが,その反面,作品への没入以外で余計な邪推をしながら遊ぶ機会が私個人は多かったので完全に1本道で自分の思うがままに選択肢を選べるというのは逆に良かったと感じました.

勿論,バランスが大事なので,全ての作品がそうなればよいという訳ではありません.
時にはそういった作品もプレイできる,多種多様な作品が存在するいい時代であるとも思いました.

 

ドット絵による懐かしい表現とその緻密さ

3つ目はドット絵による懐かしい表現とその緻密さです.
本作におけるキャラクターや背景,その他演出等のほぼ全てはドット絵で表現されています.
ドット絵表現のゲームに慣れた人にとっては懐かしい気持ちが,またなじみの薄い人にとっては柔らかな表現が,より一層メインストーリーの魅力を引き立てるものとなっていると感じました.

ただドット絵だからといって表現の幅が狭くなっているかというと決してそのようなこはありませんでした.
ゲームプレイ中にほんの数秒しか登場しないオブジェクトについてもドット絵で非常に作り込まれています.
例えば,レストランにやって来る人が注文するオムレツや肉じゃが,おでん等,わずかな時間しか作中には登場しませんが,非常に緻密に,繊細に作られています.

ドット絵だからこそのこだわりポイント,一切の妥協を許さない,そのような作り手の思いを感じ取る,非常に素晴らしい表現です.
本作では”死”の描写が行われますが,時には無残な死を遂げる登場人物もいます.
そのような表現についても,ドット絵を用いているからこそ,マイルドになっている面もあれば,より際立った表現とも受け取ることができます.
ドット絵の受け手の脳内での変換と”死”の描写,特に残酷なものとの相性の良さが際立っていると感じます.

 

プレイするのに相性が良くない人

ということで3つに絞って魅力をお伝えしましたが,ここからは本作をプレイするのにあまり向かない人,相性がよくない人について説明したいと思います.
大きく2つです.

 ゲームのジャンルがそもそも合わない人

まず1つ目は,ゲームのジャンルがそもそも合わない人です.
先程述べた通り,本作はアドベンチャーゲームですので,アドベンチャーゲームが苦手という方はあまりプレイすることはオススメできません.
特に,アドベンチャーゲームの中でも直線型,1本道のストーリーに沿って進む内容となっていますので,物語を黙々と読み進めていくこと自体が苦手な人にとってはあまり相性がよくないと思います.

 

 やり込み要素に期待する人

2つ目は,クリア後のやり込み要素などに期待している人です.
Nintendo Switch版では,虚無編を含むメインストーリークリア後に後日談が追加されていますが,それもあくまでアドベンチャーゲームとして進行しますし,それも短時間でクリアすることが可能で,それで全て完了となります.
何種類ものエンディングをコンプリートする等は特にありませんし,何周もすることで得られる追加コンテンツ的要素は(恐らく)無いと思います.
また,RPG特有のレベルを限界まで上げる等ということもありません.
あくまでアドベンチャーゲームとして物語に没入して楽しむということを魅力として楽しむ作品だと認識しておくのがよいと思います.

従って,1500円の価格に対して,もしかするとプレイ時間換算で少ないと感じる方もいるかもしれませんが,あくまで短編小説や映画を見る感覚で気軽にプレイしてみる,そんな形がよいのではないかと思います.
私の場合は虚無片を含むメインストーリーと後日談,その他全てのおまけ要素も含めて4時間程度で全て回収し終わりました.
1本の映画として見るならば,十分過ぎるボリュームと捉えられるかもしれません.
アドベンチャーゲームをあまりやってこなかったという人も,今回お話した内容を念頭に,気楽に手に取ってみるのもアリかなと思います.

 

さいごに

ということで解説は以上となります.
もしやってみようとなった方は,誰にも邪魔されずにプレイできる空間をオススメします.
その際,ハンカチはお忘れなく.

このサイトでは,1人用ゲームに特化して,発売前情報のまとめやプレイ感,レビューをまとめていますので,よろしければ定期的にチェック頂ければ嬉しいです.
それでは読んで頂きありがとうございました.

 

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