本当にADVにシューティングを付ける必要性があったのか 納得できたら買うのが善し【冤罪執行遊戯 ユルキル】

レビュー
こがめ
こがめ

どうもこがめです.

今回は『冤罪執行遊戯 ユルキル』の体験版をプレイしましたのでレビューをまとめていきたいと思います.

本作はアドベンチャーとシューティングがミックスされた作品で,特にそのダークでえん罪をテーマにしたシナリオや,独特の作画,タイトルなど,興味を惹かれるものがあります.

体験版については冒頭1章をプレイ可能で,およそ3時間程度遊べるものになっていますので,それをプレイした感想としてまとめていきたいと思います.

尚,極力ネタバレは避けていますが,説明する関係上一部例外もありますのでご留意ください.
それではいきましょう.

どんなゲームか

『冤罪執行遊戯 ユルキル』
公式ジャンルは「冤罪脱出ADV&弾幕STG」となっていますが,一般的なジャンルで定義すると,謎解きADV+シューティングになると思います.

えん罪というテーマを主軸に,作画やえん罪脱出など,独特の雰囲気を醸し出す本作は,アドベンチャーに様々な要素が加えられています.
その大きなものの一つとして,シューティングゲームの要素があります.

これはプレイヤーがアドベンチャーパートの大詰めでプレイするもので,数多くのシューティングゲームの名作を生み出してきた有限会社グレフによって開発されています.

そのやり応えはなかなかのもので,ノーマル難易度でもそれなりに歯応えが感じられるもので,さらには製品版にはオンラインでのランキングもあるようです.
勿論,難易度イージーもありますし,ハードもあり,難易度を下げる調整は随時行うことができます.
またシューティングゲーム以外にも謎解き要素や説得パートのようなものも存在,アドベンチャーゲームとしての挑戦の幅を感じられます.

尚,本作はメディアミックス的な展開もなされており,ライトノベル化と舞台化もされています.
舞台化は4/23~5/1公演で既に終了していますが,ノベライズ本は4/15予約開始,5/30発売予定となっています.

ただ,本作の発売自体は2022/4/14予定となっていましたが,クオリティアップのため,2022/5/26に延期となったようで,恐らく,当初はゲーム作品発売後に舞台公演,そしてノベル本予約開始という順序だったの思うのですが,それが逆転する結果となっています.

およそ1か月程度の延期ではありますが,このメディアミックス的広報の順序を変えてまで発売延期するというのは,なかなかの決意を感じるところではあります.

ということで,これら踏まえて,体験版のレビューをまとめていきたいと思います.

良い点

前情報通り,シナリオやキャラクターの個性,そしてシューティング等は,かなり力が入っていることが感じられました.

キャラクターはそれぞれの人物が非常に濃く,キャラ設定が二重,三重程に感じられ,またそれぞれがペアで行動するということもあり,その掛け合いも含めた描写が非常に楽しみに感じられました.
またシューティングもシンプルに面白くて,難しさに加えて隠しアイテムを見つけるのも難しく,歯応えはかなり感じられましたので,体験版以降もどんなステージ,ボスが登場するのか楽しみです.

ストーリーはえん罪というテーマを扱う関係上,そしてその罪の内容も重いものが取りあがられることもあり,全体的に暗い雰囲気になるかと思いきや,各登場人物の個性と小林ゆう演じる”びん子”という司会のようなキャラクターの存在により,非常にコミカル,且つダークで,メリハリを強く仕上げていると感じました.

体験版の1章では1つのペアについての話でしたので,恐らく2話目以降は別のペアに言及していくと思われますが,それぞれがどんな感じでどんな展開になるのか,かなり気になるところです.
個人的には安元洋貴さん演じる”岡恵一”なる人物がかなり気になるので,続きが気になる要素が色んな側面から盛り込まれていると感じました.

気になる点

では続いて,体験版をプレイして気になった点についてまとめたいと思います.
あくまで体験版時点でのまとめとなりますので,悪い要素となるかどうかは確定できませんが,暫定として一通りまとめたいと思います.

 ”謎解き”の存在意義

まず本作の大きな流れを説明しますが,服役中だったはずの様々な人物たちが,突如大型船に乗せられているところからスタートします.

ほどなくして,船はとある島に到着,決められた人物とペアを組み,その島にある大型テーマパークに生死をかけて挑むこととなります.
各人物たちはアトラクションと称した施設からの脱出のため,施設内の様々な謎を解きながら脱出を試みるという流れになっています.

従って,アドベンチャーゲームとしてのテキストを黙々と読み進めつつ,アトラクション内の謎解きをこなしていくという,物語の随所にインタラクティブ要素が盛り込まれている形で,謎を解いていくほどに,様々なことが明らかになっていきます.

ただ,この謎解き自体が面白いかというと,そこまで大きな魅力は感じられず,あくまで断片的なパズルが詰め合わされているという印象です.
謎解きの具体例でいえば,文章のヒントをもとに数を配分していくものや,並べ替え問題などがありますが,一見すると,ストーリーとは大きな関りは見出せません.

ただこれらが連なった結果,最終的にはえん罪に関わるような謎解きに繋がるように見えなくもないですが,あくまでそれらは全て,アトラクションの中に作られた謎解き要素でしかありません.
謎解き自体が面白いかどうかは置いておくとしても,アドベンチャーとしてひたすら読み進めたいストーリーの中に,あまり関連が見出せない謎が出されたところであまり興味が持てないこともあると思いますし,寧ろストーリーの中断だと捉える方もいるかもしれません.

勿論,謎解きのヒントは最大3つまで用意されており,それを任意のタイミングで閲覧できますので,謎が解けずにストーリーが中断してしまうことはありません.
ただ,やはりゲームの要素として設けられているからには自力で解きたいと思う方もいるでしょうし,一方でそれが溶けたとしてもそれ自体にはほぼ意味が感じられず,次に進むことが目的であるため,単なる障害物として感じる方も少なくないかもしれません.

尚補足ですが,これは”脱出ゲーム”としてのアトラクションに存在する謎解きであるため,それを解かないと出られないという恐怖要素としての演出でもあります.
しかし,解けないからといって,何か影響があるわけでもなく,シューティングに影響するものでもないため,のめり込むきっかけが見出せないという側面も,謎解きの存在意義が薄いと感じざるを得ない要因だと思います.

 ADVとシューティングのシナジーが薄い

謎が謎を読ぶシナリオ展開と歯応え抜群のシューティング,それぞれ本作の大きな魅力だと感じます.
ただ,それぞれが噛み合っているかというと,なかなかに賛否あるのではないかと感じます.

シナリオについては,随所に独特の要素が盛り込まれているため,人を選ぶ内容,表現,テンションではありますが,先を読んでみたいと思える,続きが気になる内容でした.
またシューティングについても,非常にシンプルながらも王道のゲーム性で,それ単体でも十分に楽しめる,オンラインランキングに挑戦したいと思える程でした.

ただ,本作の舞台がとある島のテーマパークであり,シューティングゲームについても,そのアトラクションとして位置づけられています.

従って,脱出ゲームの最後に待ち受ける関門として設置され,クリアできなければ即死亡,クリアしてもまた次の関門が待ち構えるとなっており,アトラクション上の恐怖の演出として一役買っています.

なので,それはあくまでアトラクションのゲームとしてシューティングをしているだけであり,それは特段シューティングである必要があるかと言うとそうではなく,ゲーム設計の中の選択肢の一つに過ぎなかったと言わざるを得ません.

唯一シューティングとシナリオが絡みそうな,”ヘンケンシナプス”や”ココロメイズ”といった,脳内や心の再現としてのステージとシューティングが組み合わさったようなシステムも存在しますが,これも体験版をプレイした段階では,一問一答に対応していくのみで,シューティングにはなっていませんでした.

ただ,この一問一答とシューティングが連動していなかというとそうではなく,正解すれば残機が増えたり,誤った回答をすれば残機が減る,プレッシャー要素になっています.

ただ,個人的にはそういう連動はあまり期待したところではなかったので,少しずれているなと感じましたし,残機もかなり減るのでそこに面白さを感じられるかは大きなもやもやを残すかもしれません.

シナリオが面白い作品やクオリティの高いシューティングゲームは世に多くありますので,これらを組み合わせた結果,本作が唯一無二の存在となるかと思いきや,あくまで個別のゲームのように感じられたため,少し期待とはギャップを感じるゲーム性でしたし,せめて,会話しながらシューティングが展開されるくらいはやっても良いのではと思いました.
ボスが出て戦闘が始まるかと思いきや,会話が挟まってしまい、いつシューティングさせてくれるのか,少しモヤモヤしました.

これでは,本作のノベライズ本を読むのでも代替として特に支障はないとも感じてしまいました.
またシューティングゲームについては,恐らく,章ごとの最後にしか登場しないのではとも思え,その点も少し残念でした.

 作りの粗さ

発売を1か月程度延期したにも関わらず,その作りの粗さが色んなところで散見されました.

細かなものも含めて列挙すると,
バックログを表示する際,及び戻る際にロードが挟まること,
セリフのオート送り機能はありますが,オート送り中はAボタンを押しても反応しないため,任意にテキストを飛ばす場合にはオート送りを解除しなければならないこと,
音の出力系統が少ないのか,シューティング中にセリフが挟まると音量バランスがおかしくなること,シューティングと会話パートが交互に移る際に,ぶつ切りになってることなど,
プレイしていて違和感を感じる場面がけっこう多かったです.

あとは主観的な部分もありますが,セーブは随時できるような機能にはなっていますが,セーブしたいときに限ってセーブ不可なことが頻発したことも気になりました.

また,システムの説明の際に”カットイン”という言葉を平気で使うのはあまり良くはないなと感じます.
あと,最も違和感というか,雑だと感じたのが,シューティングパートの説明が多すぎるという点です.

内容としては全てを網羅した説明を画面内で行っているので丁寧ではあるのですが,いかにも説明書的過ぎて,シューティングというプレイしながら覚えられるゲームに対して,導入の設け方がかなり一昔前感を感じました.

 若干の二番煎じ感

謎が謎を呼ぶ展開と独特のノリで進行する物語はかなり興味をそそられ,2話目以降も遊んでみたいと思いました.

特に小林ゆう演じるびん子はクセが強くアクセントにもなっている,絶妙な存在です.
ただ,全体を通して感じるのは若干の二番煎じ感で,某ロンパゲームを彷彿とさせる力強い進行は良くも悪くもその陰がちらついてしまいます.
加えて,体験版,且つ1話目だから仕方がないのかもしれませんが,説明的なセリフも目立ちました.
謎解きやシューティング要素も含めると,ゲームとして成立させるための肉付け感もあり,人を選ぶ要素になり得る一方で,個人的にはアニメや小説であればより魅力的に映ったのかもしれません.

このあたりは好みも含まれるので主観も大いに含んでいますが,合うかどうかは体験版にて見極めることをお勧めします.

さいごに

ということで以上まとめさせて頂きました.

体験版で計3時間,且つ1つのエピソードでその時間のかけかたなので,かなりのボリュームとやり応えが期待できる本作ですが,公式ジャンルでもある「冤罪脱出ADV&弾幕STG」については,体験版をプレイしてそのゲーム性を見極める必要があるとも感じました.

アドベンチャーゲームで体験版を出す作品は,最近はかなりよく目にするようになりましたので,発売元の”イザナギゲームズ”においては,かなり良心的な対応だと思いますし,パブリッシャーとしてはまだ日の浅い会社でもありますので,今後にも期待したいです.
また色々と気になる点についても,発売後にパッチが当たっていくことを期待したいなと思います.

ということで今回は以上となります.
このサイトでは,1人用ゲームに特化して,発売前情報のまとめやプレイ感,レビューをまとめていますので,よろしければ定期的にチェック頂ければ嬉しいです.
それでは読んで頂きありがとうございました.

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